昭和11年発行古しおり:伸び行く松戸(釣場案内)
伸び行く松戸のちらしは情報量がえらく多い、全部一気に掲載するのは労力を要する為、分散させて投稿したいと思います。今回は釣場案内です。
釣場案内
松戸町は元來江戸川という大きな河に沿つて居る關係上釣場は至つて多く大公望連には相当名の売れて居る土地である。今度常盤線が電化し交通が非常に便利になつた爲め盆々釣客は多くなる事と思ふ依て始めての方に二、三釣場を御紹介する事に致します。
先づ駅より國道に出て凡そ半丁川崎第百銀行の横を右折すれば江戸川堤に出る。ここより上下凡そ一里の江戸川畔は鯉「ススキ」「イナ」の大物を始めとし「アカハラ」「ヤマベ」何でも御座れの好釣場で已に玄人筋がよく御承知の通り今更申上ぐる迄もありません。
それより上流坂川排水機の裏、即ち排水堀は鮒「ヤマベ」のつきがよいので四季大公望連が絶えない。此の堀は時によると鯉鮒の非常に大物が上る事がある、少し 足場が悪いが排水機の吸入口に接近した所は此の大物が上るので油断は出來ない。
又此の堀の堤を八丁程遡り県道を越ゆると此の邊は松戸町の水郷即ち合川坂川六間川の合流點で鮒「ヤマベ」抔の小物を狙ふによい三川の内何れを選ぶも甲乙はない。ここより上流は即ち古ヶ崎鮒の産地で至る所釣場ならざるはなしであるが、先づ此邊で半日程腰を下ろせば魚籠は相當重くなる。
因に江戸川の釣船は一日小舟一艘の料金四十錢見當で川岸赤圦閘門前と葛飾橋通に各一軒づ船宿がある。
位置図
この文章で書かれたスポットを入れてみた。大きなマップで見たい方はフルスクリーン表示をクリックして下さい。
解説
松戸駅から國道に出て凡そ半丁川崎第百銀行の横を右折
オレンジ色の線で現した。川崎第百銀行とは現在の松戸公産です。国道は旧水戸街道に読み替えてください。半丁というのは約55メートルだが、実際は現在の市民劇場前の交差点から松戸公産までは80メートルくらいなので、少し短めに書いているかもしれない。
実は昭和10年代、この国道に出て松戸公産までの間に釣具屋さんがあったらしい、現在の遠州屋果物屋附近だと思う。
江戸川河畔では鯉、ススキ、イナが獲れたとある。ススキとはスズキの事かな?セイゴであれば、結構獲れたらしい。イナとは成長するとボラやトドになる。子供の頃は川だが、海に出て大きくなる。卵はからすみ。
アカハラ、ヤマベも穫れると書かれている。アカハラはウグイやハヤの事で、私が子供の頃、アカハラという名前では呼んだことが無い。ヤマベはオイカワの事。
坂川排水機の裏と排水掘
ここで云う、排水掘とは樋古根川の様だ(うしとらさんに教えていただいた)。下記の写真は排水橋附近から排水機場方向を見ているのではないかという事です。それにしても掘りと周りとの地盤高さが近く、2022年現在とは全く違って居ますね!
また、私が子供の頃は排水機場の排水掘側にも入れたのだが、今は(安全の為か)入れなくなっている。その為、撮影も出来なかった。
ここでもヤマベがとれたそうだ。事に排水機の近くに大物が居たらしいですね。
水郷即ち合川坂川六間川の合流点
ここは所謂、古ヶ崎五叉路の附近である。合川は坂川の支流で、私が子供の頃に埋め立てられた。合川は現在北松戸工業地帯へ向かう産業道路に変わっている。下の航空写真は国土地理院の空中写真で1961-69年の頃で、坂川と合川が並んで流れている様子が分かるだろうか?上部、鬱蒼とした森の如きがある所が小僧弁天。
下はその合川の現在の様子。
下の写真は合川と坂川に挟まれてあった頃の小僧弁天です。松戸商工会議所・観光協会が発行した昭和30年頃の小僧弁天です。いかにも水郷の中にある弁天様という感じがしませんか?
江戸川の釣船は川岸赤圦閘門前と葛飾橋通
赤圦閘門附近にあった船宿は”田中屋”だと思う。ここは釣り道具、舟だけでなく、駄菓子も売っていたことがあったらしい。松戸の駄菓子屋でも少し触れた。
最後に
伸び行く松戸という松戸に関する栞の情報が多かったため、いくつかのページに分けてアップロードする事にしました。
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