つれづれなお話

人との繋がり:今自分の隣にいる人の正体の話し

スパイ つれづれなお話
UnsplashIsai Ramosが撮影した写真
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壁に耳あり、障子に目あり

自分の身の回りにいる人々

清掃

UnsplashIsai Ramosが撮影した写真

道草亭ペンペン草がまだ建築設計をしていた頃の話しである。

2010年までは勤務先が港区虎ノ門、某大手貸しビルの中だった。新入社員の頃は社員も少なく愛宕山付近の小さなオフィスビルの中にあった。その後社員数が増え、1992-3年頃だったか、虎ノ門のオフィスに引っ越した。建築業界はまだまだバブル景気の余韻があった、大家は港区の大家さんと言われた所で同じ、変わらない。

ビルの大小に関わらず管理はしっかりしていて、一日に二度ほど清掃夫が事務所の清掃にやってくる。彼らとは毎日会っているのに、私的な会話は殆どない。彼らも心得ているからか、会話を望んでいないようにも見える。ただ強いて言えば、男性より女性掃除婦の方が話しやすい雰囲気がある。何故かは分からない。

もしかすると、女性掃除婦の方が圧倒的に世間話に長けていて会話のハードルが低いからかもしれない。さらに女性は男性と違って横方向に繋がりやすい特性も手伝っている。男性の場合は基本的に縦方向のつながりを重視する為か、特に職場の同僚には知らない人との会話に踏み込めない人は多い。

初めての居酒屋にあなたは一人で行きますか?

初めての居酒屋に一人でぶらっと入る事がある。私の行動パターンを知らない同僚は「居酒屋に一人で行っても楽しくないだろ?」と訝しがる。実は私は一人で行く方がむしろ楽しい。それは全く異なる業界や、初対面の人との会話があるからで、会話の奥行きや世界がぐっと広がる。それが楽しいので、一人でぶらりが多い。

一方、同僚と行くと身近な話題は絶えないので、直球が投げられる。そして、悩まず淀みなく会話に移行出来る利点がある。それに第一気楽だ。それはそれで大切にしたいと思う。ただ、欠点として会話の及ぶ範囲は限られていて情報取得としての新鮮さに欠ける。一番困るのは会話が途絶えた際、上司や同僚に対する愚痴になる時だ。

愚痴はいやだけど、お付き合いも必要

お付き合い

村岡 悠司によるPixabayからの画像

私は受け手として一応真剣に聞く。しかし、後ろ向きのお話は正直歓迎しない。話を聞き始めると愚痴一色になる事もある。結局愚痴を吐き出したい為に私を誘ったんだなあ・・・と気がついたときはもう遅い。最後は悪酔いに一直線だぁ~サラリーマンの悲哀を感ずる瞬間だね。

お勤め稼業の悲しさでたまにはそういう付き合いも必要だ。御同行しないと同僚との距離感が徐々に広がり、人間関係が悪くなりかねない。不本意な意地悪をされても困る。その為、やむを得ず五回に一回くらいなら、お付き合いする場合もある。相手をみて考える。

智に働けば角が立つ

角が立つ

dadaworksによるPixabayからの画像

夏目漱石の『草枕』は”智に働けば角が立つ情に棹させば流される意地を通せば窮屈だとかくに、人の世は住みにくい”で始まるが、良く言ったものだと思う。

色々な事を書いてきたが、実は私はむしろ積極的にお付き合いに乗る側の人間だ。同僚の中にはそういった(愚痴を聞くための酒席等への)お付き合いを頭から否定する人も居る。しかし、そういう人は徐々に孤立する。どうしても角が立つ。

得てしてそういう人は神経質で敏感な人だと思うが、それだけに本人は真っ先に気がついているかもしれない。バブルの頃まではそういうタイプは本当に存在しづらい状況にあった。ところが、最近は個人主義の人も増え、ライフスタイルが多様化した為か、そんな思想でも生きていられる。例外的に体質的に酒の飲めない人もいるが・・・

男性と女性の愚痴の違い

愚痴

いらすとや
https://www.irasutoya.com/

男性は酔いが廻って始めて愚痴になる、女性はケーキを食べながらでも愚痴が言えるらしい(男性の中でもそういう人も居るみたいだが)。さて、あなたはそんな女性の状況をどう感じますか?気楽で良いなあ~と思いますか?ところがどっこい、とんでもないらしいのだ。
それはこんな理由だ。

つまり、私が酒席で愚痴を聞くのが嫌だなあ・・・と思い感じている事を、女性は四六時中感じざるを得ない。男性が愚痴を言うのは酒席だから、実は分かりやすい。女性は場所と時間を問わず、愚痴を聞かされるらしい。この為、常日頃、聞き上手に徹しないと、今度は自分が揶揄される事になる。それはイヤだから聞きたくもない愚痴を懇切丁寧に受け止めて聞いてあげる。

その結果ストレスが溜まる。でも、ストレスが溜まるのはイヤだから、自分でも愚痴を言って発散するようになる。図太くならないと生きていけない。そうやって厳しい女性社会が出来ていく様なのだ。結構女性も大変なのだ。だからこそ女性は大変、気苦労が多いのだ。私には耐えられないだろうなあ~絶えずそういう状況に晒されていると精神的に弱い人はたまらんだろうなあ・・・とも思う。

女性同士の繋がり

いさかい

いらすとや
https://www.irasutoya.com/

先に女性は横のつながりを重視するとは書いたが、それは互いに利益関係にない人同士の結びつきの場合に限られるかもしれない。同僚の女性と飲食に行くことがある。その場合、男性対女性の人数の比率で会話が180度異なる事がある。

女性が多い飲み会での会話に付き合うと、会社内における女性同士の境界線が、あからさまに分かる場合がある。この会話に不用意に口を出すと思わぬしっぺ返しに遭いそうである。男性の立場として、同僚男性を揶揄する事は出来ても、同僚女性を揶揄する事はタブーで特に危険だ。この件に関しては、これ以上は述べない事をお許し願いたい。私も平和を望むのだ。

それだけの関係

トイレ

Michal JarmolukによるPixabayからの画像

話が脱線した。清掃夫の話に戻る。トイレ掃除をする人は何故か女性が多い。男子便所であっても同じ。男の小用は立ったままの姿勢でする。これはどの国に行っても共通した普遍的なスタイルなのかもしれない。私の歳になるとどうと言う事はないのだが、中には小用であっても、恥ずかしがってブースに直行する人も居る。おばさん相手でも若干の気恥ずかしさは残るのかもしれない。

犬井ヒロシ(サバンナの高橋)流に言えば`その人が羞恥心でブースに入るのか、或いは大だったのかは自由だぁ~!`になるだろうが、聞けばあからさまに分かってしまう。でもそんな事を考えている自分が一層馬鹿馬鹿しくなるので、敢えて気にしないようにする。

同時に、たとえ歳を喰っているおばさんでも男子便所という密室に二人きりになる訳で、気まずいのは困る。そんな時はすぐさま「こんにちは!」と声を掛ける。声を掛ければ必ず「こんにちは!」と返事がある。これで安心して小用が出来ると言うものだ。

長々と書いたが、結局`それだけの関係`という事である。

繁華街で遭遇しても

新橋方面や全く別のところで彼らに会う事もある。竹馬の友に会ったような面持ちになり、何となく会釈する。向こうも恥ずかしそうに会釈で返す。でもそれ以上には発展しない。「いい店ありますけど、いかが?」という事もない。やはりそれだけの関係である。ただ、彼らは謎の存在で、果たしてどんなスキルを持っている人なのかは分からない。

意外な事を言われて驚く

図面

Christian ReilによるPixabayからの画像

別の投稿でも書いたが、我々は図面を描く商売だ(実は2022年現在は違うけれど・・・)。パソコン上で図面を描く事が増えたが、昔、図面は製図板の上で描くものだった。勿論机以外の場所でスケッチを描く事もある。このスケッチは今でも勿論描くが、スケッチや図面のどちらも殆ど無防備で彼らの目に晒している。

彼らが同業者から送り込まれた情報屋(or産業スパイ?)かもしれない。それは何とも言えない。そこまでは深刻に考えないにしても、小さなビルに居た頃こんな事があった。清掃夫の中で一人目立つおじさんが居た。年齢は65過ぎ前後で頭はらっきょ型、髪が薄い。このおじさんは仲間とよく喋っていた。聞き耳を立てると、このおじさんは気になる事を喋っていた。

「あの彼、図面がうまくなったなあ・・・」

あの言葉を聞いた時、何者?と思ったね・・・

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