松戸行脚

起伏にとんだ松戸の土地、谷津の斜面林

林間散策路の階段 松戸行脚
林間散策路の階段 2022年5月8日撮影
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起伏にとんだ松戸の土地

昭和十年代前半、松戸の人口はたった二万人程度だったそうです。商人は街道沿いに住み、水稲農家は下谷、谷津田、そして一部の陸稲を含む畑作農家は台つまり下総台地に住んでいました。松戸は航空写真で見ますとリアス式海岸のように陸地が入り組んでいます。これはその昔の海岸線の跡なのだそうです。
新松戸の松戸市郷土資料館(現在は閉館しています)の大井館長によれば、その海岸線の高台を`台`と呼び入り組んだ場所を`谷津`そして江戸川に面した平地を`下谷`との事でした。

松戸市の人口

住宅開発

OpenClipart-VectorsによるPixabayからの画像

松戸市ホームページによれば1945(昭和二十)年の人口は4万3332人でしたが、その後人口が増え始め、2022(令和四)年4月1日現在の人口は49万6,540人に膨れ上がったそうです。つまり77年間で、11.45倍に増えた事になります。これだけの人口を消化させる為に街道沿いだけでは無理で、`台`、`谷津`、`下谷`が宅地開発されて現在の松戸市になった事になります。

古ヶ崎、栄町、伝兵衛新田、幸谷、大谷口などの所謂下谷地区は徐々に宅地開発が進みました。古ヶ崎は流山街道の付近はいまだに田畑も見られますが、今後はどんどん宅地化していくのでしょうね。

シラサギが飛んでいた松戸市立北部小付近

サギ

michel kwanによるPixabayからの画像

私の卒業した松戸市立北部小学校の周りは田畑ばかりでシラサギなどのサギ類をよく見かけました。また、谷津の部分の開発は私の物心ついた当時はすでに活発に進んでいました。この谷津の部分では湧水が豊富でそこには津、瀬ががあり、ヤゴ、エビガニその他淡水に住む生物の宝庫でした。それは自分の身の回りにいくらでもありました。

さて、相模台、胡録台、岩瀬、胡録台などのエリアを散策して歩いてみました。

1945-50(昭和20-25)年頃の空中写真と谷津

全体をご覧になりたい方はフルスクリーン表示をクリックしてください。と言いましても、周囲まではの書き込みはあまりやっていませんが・・・

この空中写真は国土地理院のタイルを利用して、UMap上でその他の情報を書き込んでいったものです。紫色のラインが谷津のふちを表していますが、分かりにくいかもしれませんので、2022年の現状地図の上に同じラインを落としてみます。それが下図です

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相模台は一見して下総台地にあるようだが、実際は離れ小島的に台地に接している。その周りは入り組んだ谷津で囲まれていたことが昭和二十年代の地形図と航空写真から想像出来る。
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相模台の松戸拘置所付近から谷津と戸定ケ丘方面を見る

相模台から見た戸定ケ丘方面

相模台から見た戸定ケ丘方面
2021年5月撮影

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元サニーランド付近の谷津

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岩瀬付近の地形については岩瀬にお住いのKさんが詳しく色々とアドバイスをしていただいた。
マスター
Kさん

「国道を境に現在のサニーランド側と反対側は大きな谷津で繋がってました。陣ヶ前方面のNo.6浮ケ谷ゴルフクラブ方面の谷津から小川が流れてきて、NO.5野菊の団地付近の谷津から小川、No.4岩瀬胡禄神社の谷津の小川の形三つがサニーランド付近で一つに繋がります。その後旧町名の向山下三丁目を下り常磐線を越え松戸神社付近で坂川に流れ込む川だったんです。所謂`神田川`ですね。

現在この神田川は向山下三丁目のトチノキ通りで暗渠になっている。その後大正寺で開渠となり後は坂川まで流れ着いている。
神田川

神田川
2022年5月8日撮影

水路で杭もズブズブ潜ってしまうサニーランド方面からの水路

マスター
Kさん
ただ、六号線を引いた後このこの地域は度々水難に襲われました。元々低地だから雨が降ると床上浸水してしまったんです。そこでそれぞれのNo.4,5,6から流れてくる水路を暗渠として作り現在のサニーランドに接して直ぐ横に旭ヶ丘第三公園がありますね。あの旭ヶ丘第三公園の地下に巨大な貯水槽を作り、さらに巨大な暗渠を作って向山下三丁目を通したんです。
旭ヶ丘第三公園に早朝行くと、毎朝掃除をしているご老人の女性に声を掛けられた。広い公園の掃除をご苦労様です。この公園にはニセアカシアやユリノキがあり、花を咲かせていた。
マスター
マスター
サニーランド横に六号線の下をくぐるトンネルがあるのをご存じですか?
あのトンネルの位置が昔の水路の位置で現在はあの下に巨大な暗渠があるんですよ
元水路のトンネル

元水路のトンネル
2022年5月8日

道草亭ペンペン草
道草亭ペンペン草

確かに人が通過する為のトンネルがありますね

マスター
Kさん

この土地はそもそも相当低い地盤だったんです。しかもぬかるみなのであまり良い地盤でない。沼があった所を埋め立てて立てようとした業者が杭を打ったらどんどん中に入っていってしまったので途中で工事をストップしたという事もありました

谷津を跨いだ六号線

谷津を跨いだ六号線
2022年5月8日撮影

ここは谷津を跨いで無理くりに国道六号線を作った場所なので、どうしても中央当たりが沈下して見える。

サニーランドがあった2006年頃の同じ場所

サニーランドと国道六号線

サニーランドと国道六号線
2006年1月1日撮影

岩瀬の谷津、小根本の山

岩瀬の谷津は私が物心ついた頃にはすでに住宅開発されていたものの、樹林は残っているのでこの界隈を歩くのも又、面白い。

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岩瀬の斜面林散策

岩瀬住吉公園付近

岩瀬住吉公園斜面琳

岩瀬住吉公園斜面琳
2022年5月8日撮影

ここの斜面林はクスノキやケヤキなどの樹木があり、相模台らしさが残っている。隣には岩瀬自治会集会所(通称:いわぽん)があり、季節にはこいのぼりが飾られている。地域の活動はまだ残っている場所のようだ。

岩瀬住吉公園

岩瀬住吉公園

岩瀬住吉公園
2022年5月8日撮影

公園の中にはシーソーやブランコの他に記念碑が建立されている。読んでみたら、どうやらこの地区の区画整理に関する内容であった。

記念碑:住吉土地区画整理竣工記念誌

住吉土地区画整理竣工記念誌

住吉土地区画整理竣工記念誌
2022年5月8日撮影

この記念碑にはこの様に書かれている。

記念碑

住吉土地区画整理竣工記念誌
由来此地ヲ松戸町岩瀬字前耕地並小根本字山中前ト称シ面積
約五町歩ノ水田ナリキ偶々昭和七年東京市域ノ大拡張アリ且
常磐線第一期電化完成ニ倶ナヒ松戸町勢ノ発展著シク住宅ノ
新築日ヲ逐ヒソノ数多キヲ加フ然ルニ当所ハ地形不整排水マ
タ不便ニシテ各個人ノ利用ニ委センカ統一ヲ缺キソノ価値ノ
太シク失ハルル虞アリキ茲ニ於テ小泉源蔵中山謹三両氏率先
相謀リ土地区画整理組合設立ヲ計画昭和十二年八月二十七日
認可翌十三年四月十五日着工幾多ノ支障ヲ排シ県及町当局ノ
懇切ナル指導ト相俣テ同十四年四月三十日所期ノ工事完了セリ
茲ニ新興住宅地ハ出現シ街路整然溝渠完備帝都郊外大松戸
発展ニ資スルトコロ蓋シ尠少ナラサルニ至ル工事落成事業畢
ルニ当リソノ梗概ヲ録シテ之カ記念トナス
千葉県知事従四位勲三等 立田清辰題字
東葛飾郡松戸町長 門六郎撰文

このままでも読み取れますが、漢字が難しかったり、送り仮名がカタカナで、若干読みにくいのでフリガナ等やさしい現代語に近い形で読み替えます。

住吉土地区画整理竣工記念誌
由来この地を松戸町岩瀬字前耕地ならびに小根本字山中前と称し面積約五町歩の水田なりき、たまたま昭和七年東京市域の大拡張があり、かつ常磐線の第一期電化完成に伴い、松戸町の発展著しく住宅の新築日をおい、その数多きを加う、しかるに当所は地形が不整排水、又、不便にして各個人の利用にゆだねている為、統一を欠き、その価値のはなはだしく、失われる恐れがある。

ここにおいて小泉源蔵、中山謹三両氏が率先して相はかリ土地区画整理組合の設立を計画、昭和十二年八月二十七日認可、翌十三年四月十五日着工、幾多の支障を排し県及町当局の懇切な指導と相まって、同十四年四月三十日所期の工事完了せり。
ここに新興住宅地は出現し街路整然とし、溝渠完備し、帝都郊外の大松戸の発展に資するところ、けだし尠少(せんしょう)ならざるに至る工事落成事業を終えるにあたりその梗概(こうがい)を録して、これを記念と為す

千葉県知事従四位勲三等 立田清辰題字
東葛飾郡松戸町長 門六郎撰文

岩瀬斜面林(岩瀬谷津のエンド、六号線付近)

岩瀬斜面林エンド部分

岩瀬斜面林エンド部分
2022年5月8日撮影

さらに進むと岩瀬谷津のエンド部分にあたり、この斜面琳の先は国道六号線であるが、斜面林のおかげで、静かである。

岩瀬の急な坂道

相模台団地二号棟への坂道
2022年5月8日撮影

谷津のエンドを右に行くとこの坂道があり、相模台団地二号棟や一中方面に上がっていく。

林間を歩く岩瀬の散歩道へ

林間散策路の斜面林

林間散策路の斜面林
2022年5月8日撮影

岩瀬の谷津を右に向かうと上記した相模台団地方面に向かうが、左に歩くと林間を歩く岩瀬の散歩道方面に行ける(岩瀬の散歩道というのはあくまで私がそう呼んでいるだけです)。前方に見える斜面林がそれです。

林間散策路の階段

林間散策路の階段
2022年5月8日撮影

これが林間散策路の階段

散歩道の階段途中の樹木

階段途中で見られる樹木等

林間散策路の上部

階段上風景-1

階段上風景-1
2022年5月8日撮影

階段上風景-2

階段上風景-2
2022年5月8日撮影

小根本の斜面林散策

小根本の崖上の斜面林

小根本の崖上の斜面林
2022年5月8日撮影

小根本高台北側斜面

小根本の崖上北側斜面林

小根本の崖上北側斜面林
2022年5月8日撮影

高台の住宅地の中を歩いてこの場所に出られる人は地元っ子。でも公園側から上がると簡単に場所が分かる。でも公園側の階段は急で上がる気にならないんだなあ・・・

この階段は上がる気にならないんだね・・・

小根本公園

小根本公園

北側にはこの公園がある。子供の頃よく遊んだ。

小根本北西側斜面及び階段(栗原酒販さん方面に出る階段)

小根本北西階段 (栗原酒販方面に降りる階段)

小根本北西階段
(栗原酒販方面に降りる階段)
2022年5月8日撮影

左が上から見た階段。右が下から見上げた階段。鬱蒼としているが、涼しい。

小根本北西斜面林 (栗原酒販方面)

小根本北西斜面林
(栗原酒販方面)
2022年5月8日撮影

ここまで降りると,栗原酒販さんと金太楼東口店が見られる。

小根本の擁壁上の林

小根本の擁壁上の林
2022年5月8日撮影

岩瀬の坂の途中に見える小根本の擁壁上に見える樹林も壮観。

最後に

この投稿は2006年に松戸行脚「岩瀬と水戸街道」として発表した内容を2022年版として改めて投稿したものです。もしご意見ありましたらアドバイスお願いします。

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