つれづれなお話

お茶の話:その2 中国茶

日本茶 つれづれなお話
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台湾

中華圏におけるお茶の話しに移ります。本来、中国茶なので、中国大陸の話しから始まる筈ですが、私が中国茶に目覚めたのは台湾だったので、台湾を先に書きます。

台湾との出会いの頃

総統府台北

総統府 2010年7月10日撮影

1987年台湾・台北の靴製造会社が台北市の民生東路沿いにホテルを作るプロジェクトがあり、台北に頻繁に通うようになった。最初は出張で行くと、オーナーが靴の価格を割り引いてくれるというので、ジョギングシューズを良く買った。

又、我々が外地で建築設計する場合、役所の申請が出来ない為、当地に政府申請の為の設計協力事務所を設定する。それがL建築設計師事務所だった。オフィスは総統府のすぐ近くで、ニニ八和平記念公園(別名:新公園)前だった。

ニニ八は不幸な過去の歴史の話しなので、ここでは割愛する。

さて、L建築設計師事務所では色々な人にお世話になったが、比較的私に年齢が近かった蔡さん、呉さんがお茶好きで彼らが点ててくれたお茶を飲んだ。これが烏龍茶なのか?と思った。美味しかった。今まで飲んだ烏龍茶は何だったのか?全く別物だった。

さて、上のストリートビューは当時通っていた協力事務所のビル。総統府のすぐ近くで懐寧街沿い。ちなみにこの懐寧街をもう少し北上し衡陽路に到達すると、その角に公園号酸梅湯のお店がある。これはお茶ではないが、甘酸っぱい飲み物で印象的なので、一応紹介しておく。

Just a moment...

台湾烏龍茶にハマった

烏龍茶

bor chenによるPixabayからの画像

私はあれから烏龍茶にハマった。台北の街を歩いているとあちこちに台湾のお茶販売店を見かける。もっともよく見かけるのが天仁銘茶かもしれない。

天仁茗茶
中国茶専門店の天仁茗茶/天福茗茶です。アルミパック、缶入り、ティーパック、工芸茶、計り売りなど、中国茶の種類を豊富に取り揃えています。

お店の営業スタイルは大抵どこのお茶屋さんも同じで、試飲して、気に入ったお茶を購入する。一斤いくらという単位でお茶を買う。台湾で一斤とは600gで、どうやら中国大陸では一斤500gらしい。これが混乱するのだが、それはさておき、先ず天仁銘茶でお茶を買っている内は一定の基準のお茶を売っているので、心配はない。

私が台北に行っていた1980年代後半は単なる量り売りであったが、現在はお茶の品質を保持する為、小さな袋に小分けにして、いくつかまとまると一斤でいくら?みたいな売り方をしているようだ。

団体旅行で連れていかれる土産物屋ではお茶は買わない

ところが、台北から離れ、太魯閣を始めとした観光地に行くと、名も知れぬ団体客向けのお土産屋さんに連れていかれる事がある。大抵の場合は、ツアー会社の都合なのだが、大理石の置物、翡翠、瑪瑙、宝石などを売っていて、そこにバスで乗り付け、団体客が一斉に押し寄せる店。連れて行く事で、ツアー会社にマージンが入るしくみがあるらしい。

瑪瑙

Robert RamsayによるPixabayからの画像

 

ツアー会社に連れていかれる団体客用の土産物屋にロクな所がなくて、お茶もしかり。お茶は他の店同様、試飲させるが、試飲で飲んだお茶と売るお茶が全くの別物で、帰宅してからびっくりの茶葉である。実は私も騙されたことがある。そのお茶を協力事務所の蔡さんに持って行って聞いた。

道草亭ペンペン草
道草亭ペンペン草

どう?

蔡さん
蔡さん

こんなお茶買っちゃダメだよ。犬でも飲まないお茶

ある意味、これは私にとってのお茶に関する黒歴史だね。

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香港

香港の中華デパートの中国茶

hongkong

AndrzejによるPixabayからの画像

香港へは1996年に常駐した。オフィスがあったのは銅鑼湾(Causeway Bay)のそごうが入っていた東角中心だった。九龍方面に行くと裕華國貨を始めとした中国デパートがあり、変圧器を探しに行ったことがあった。香港は200Vなので、日本の家電をそのまま使うと壊れてしまう為だった。さて、裕華にもあったにはあったが、えらくデカい。

15cm*15cm*10cmくらいはあった。日本ではもっとコンパクトなものがあったが、背に腹は変えられない。仕方なく買ったのを覚えている。デパートの中を見て回ると印象として昔見た中国物産店をもっと大規模にしたものに感じた。当然ながら、中国茶も売っていて、あの赤い袋にたくさん入っているものだった。令和5年現在の裕華國貨は多分もっとリッチになっているのではないかと期待する。

香港で飲むお茶

お茶

Spencer WingによるPixabayからの画像

香港で飲茶に行くと、お茶の指定が出来るが、通常はそんなに高級なお茶は飲まなくて、大体我々はポーレイ茶(プ―アール茶)を飲んだ。脂っこい料理にポーレイ茶は合う。ポーレイ茶の故郷雲南省産の15年物や30年物はとても手が出ないほど高い。私には安物のポーレイ茶で十分だ。

また、潮州料理のお店に行くと、食前にえらく焙煎の強い烏龍茶系のお茶が出る。一つのスタイルだと思って飲むが、あれを美味しいという人が居たが、いまだに理解できない。

その後、確か香港のセントラル地区だったかもしれないが、場所が思い出せない。ある中国茶を売っている店に出遭った。店の名前も住所も忘れた。あの店では中国産も台湾産も取り揃えていて、お土産用で中国茶をよく買った。あの店の店主とお茶に関する話をたくさんした。中国デパートの赤い袋に入ったお茶の事についても話した。

道草亭ペンペン草
道草亭ペンペン草

以前、中国物産店の様な所で売っていたウーロン茶はあまりいいウーロン茶ではなかったですね。

お茶店員
お茶販売店主

確かにそうですね。元々中国大陸では良いお茶がありました。実は文革の時期に中国茶は贅沢の象徴として弾圧され、栽培は制限され、市場が一旦崩壊に近い状態になったんです。

道草亭ペンペン草
道草亭ペンペン草

なるほど

お茶店員
お茶販売店主

そんな間に、台湾でお茶の栽培が進み、とても良い茶葉が取れ、世界でも流通するようになり、中国大陸のお茶が遅れてしまった事がありました。その時にお客さんが台湾でお茶を飲んだのだと思います。

道草亭ペンペン草
道草亭ペンペン草

それでなんだ・・・

お茶店員
お茶販売店主

しかし、文革が終了して以降、徐々に良い中国茶葉の栽培・生産が始まり、復活し、徐々に大陸での市場が元に戻りつつあるんです・・・今は良いお茶が出回っていますよ。

なるほど、制限され、市場が崩壊した事で流通していたお茶が、あの赤い袋に入った中国茶だったんだな・・・と思った。

又、潮州料理屋で出されるお茶についても話した。

道草亭ペンペン草
道草亭ペンペン草

潮州料理のレストランで食前に妙に苦いお茶が出ますよね。あまりおいしいと思わないんだけど・・・

お茶店員
お茶販売店主

そうですね。それは店にもよると思います。ただ、潮州料理で飲むお茶だけでなく、他の多くのお茶に総じて言える事ですが、濃い色のお茶を出すというのは、即ち焙煎が強いという事を意味します。何故焙煎を強くするか分かりますか?

道草亭ペンペン草
道草亭ペンペン草

何故でしょう?

お茶店員
お茶販売店主

焙煎は奥が深いんです。微妙で、弱い、独特のタイミングで焙煎することで、美味しいお茶が出来るんです。でも、品質の悪い茶葉は、弱い焙煎ではどうしても味が出ないので、従って、焙煎を強くして味を出す事になります。そういうお茶は総じて濃くて苦いお茶ですね。

この話を聞いて合点がいった。安く大量に売られていた中国物産店の黒い色のお茶をイメージしながら、これかあ・・・と思った。そういえば、日本のペットボトルの”あの”ウーロン茶も濃くて苦いなあ・・・あれもそういう事なのかな・・・と思っていた。

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中国大陸の中国茶

中国物産店:最初の安っぽいイメージが尾を引いた

天安門

PublicDomainPicturesによるPixabayからの画像

1976年中国で毛沢東が死亡し、四人組の裁判が行われ、文革が終了し暫くした頃、鄧小平の指導体制の下で改革開放政策が行われ、その一環だと思うが中国物産店が日本の各地に出来た。松戸駅周辺にもあった。松戸駅西口が区画整理され、新しい建物が建ち始めた頃で、確か伊勢丹に向かう道の途中にあったと思う。

松戸駅東口の扇屋付近だったか、味華が対面に移る前の長谷川不動産の横だったか忘れたが中国物産店はあった。ただ、テントの様な仮設の造りで、少し大きめの模擬店の様な感じだった。そこでは、中国産の色々な産品が置かれていた。後年、価格が高騰するパンダの切手や猿の切手もあった。文革の切手もあったかもしれない。

Chairman Mao badge - Wikipedia
毛主席語録 - Wikipedia

毛沢東語録、バッチ、刺繍のハンカチ、人形、そしてウーロン茶も売られていた。

中国切手

Thomas G.によるPixabayからの画像

安っぽく見えた中国物産展の烏龍茶

中国物産展で売られている烏龍茶は真っ赤な袋にたくさん入っていて、茶葉の色も真っ黒だった。正直な話、見た目は安っぽかった。私自身、当時は中国茶を飲む習慣がなく、どうやって飲むのか分からなかったし、どんな味なのか分からないお茶をそんなに買ってどうするの?と思い、とても買う気にならなかった。

また、あの中国物産展で売られている商品群の安かろう悪かろう的な印象からとてもいい買い物が出来るイメージは無かった。その後、父が中国大陸に頻繁に旅行に行くようになった頃、お土産だと烏龍茶を買ってきた事があった。それはあの(赤い大きな袋の)烏龍茶だった。一杯いただいてみたが、リピーターにはならない代物だった。

ペットボトルのウーロン茶

私が就職して間もない頃、1981年だったかS社からペットボトルのウーロン茶が発売された。武夷岩茶がベースなのだという。S社のウーロン茶は、口の中が苦みでさっぱりする性質の舌触りで、嫌いではなかったものの、ああ、中国茶とはこんなものなんだと思っていた。

海南島の苦いお茶:海南苦丁茶

海南島

SVETLANAによるPixabayからの画像

台湾で本当に美味しい中国茶の味を知って、後に中国大陸でのお茶を楽しむ様になった。海南島でホテルプロジェクトの設計公募があるというので、出張し上海のH君と共に敷地を見に行ったことがあった。ただ、ロケーションとして近くに別の顧客のホテルがあったので、結局はこの仕事は取らない事になった。

さて、いいお茶が無いかな?という事で、ある茶のお店に入った。海南島で有名なのは海南苦丁茶なのだという。口当たりが苦いが、飲んだ後に広がる甘味が何とも言えないという。試飲をし、なるほどこの苦さか・・・と思い購入したっけ・・・また飲みたいね。

龍井茶(ロンジンチャ)

天津のプロジェクトで、北京に通っていた頃だったと思うが、オーナー事務所では龍井茶という緑茶をすすめられ飲んでいた。平たい茶葉で、茶碗に茶葉を直接入れお湯を注ぎ暫くしたのち、葉が口の中にならないように直飲みする。何となく香ばしい緑茶だった。或いは、龍井茶だけに拘らなかったが、「蓋碗(がいわん)」という蓋つきの茶碗で蓋をずらしお茶を直飲みする。

青島に頻繁に通っていた頃は「蓋碗(がいわん)」で急須代わりにして緑茶やジャスミン茶を飲んだ。つまり、茶碗に茶葉を入れ、お湯を少し入れ、蓋をずらし乍ら一旦お湯を捨てる。少し蒸らした後、お湯を再び入れて、蓋をずらし、お茶を飲むための小さな椀に入れて皆に振る舞い飲む。下はあるきちさんによるお茶の入れ方のYoutubeです。

武夷山

武夷山と言えばS社のCMを思い出す。良く出来たCMで心を鷲掴みにされそうになります。

遥かなる武夷山というS社のCMには、

♪雲霧裏的武夷山 飄蕩著 緑色的夢幻 相思花開 灑落點點 芳香醉人的花瓣♪

翻訳してみると、

♪雲の中に武夷山が浮かぶ 緑の夢 アカシアが咲き、香り豊かで魅惑的な花びらを少し振りかける♪

というえらく誌的な抒情溢れる歌ですね。

武夷山の岩茶:大紅袍

大紅袍(日本語読み:ダイコウホウ、中国語読み:ターホンパオ)とは武夷山(ウーイーシャン)の岩茶の事なのですが、詳しく書いてあるぺージもありますので、ご参照ください。

武夷岩茶 大紅袍
茶葉は細かく焙煎は強いようです。黒々とした茶葉のなかに青黒いものと茶色っぽいものも少し混ざります。 鼻を寄せますと香りはとても強いです。その香りのなかには滋味を含んでいます。茶器を温めて98℃の熱湯で淹れて茶洗をして湯をすてた茶葉の香りは、...

又、4年ほど前に武夷山(ウーイーシャン)のプロジェクトがあった際に打ち合わせで現地に訪れました。オーナーが武夷山岩茶を販売する会社を持っていたので、帰国時にはお土産としてお茶をいただいたのが下記の写真です。

武夷山のお茶

武夷山のお茶

印象大紅袍 野外劇場

この武夷山で有名なのが、印象大紅袍という野外劇場でのエンターテイメント。

tripadvisor.jp

私が観た印象大紅袍を下記のYoutube チャンネルで、公開していますので、よろしかったら見てください。

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お茶の話し:その3 その他のお茶
1985年から87年までスリランカの首都コロンボに常駐していた。毎日、現場のティーボーイが入れてくれる所謂ミルクティーが甘くて飲めたものではなかった。しかしながら、甘さを無し、ミルクも無しにしてもらうとタンニンが出すぎてただ苦いお茶だった。

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