表の家

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 つれづれ話の部屋
海外生活はたまらない 広州編11-15

15 飲茶と広州


施主の事務所で作業していても大抵午後6時半頃には追い出されてし
まう。昼間は集中して作業するが、残業までして仕事を進めたりしないら
しい。どうしても本日中に作業が必要な場合ホテルに帰って残りの仕事を
せざるを得ない。

このパターンの場合一人で夕飯をとることになる。一人で食事すると先述
したように行き先は「ひらた」になってしまい一杯飲みたくなる。一杯飲むとホテルに帰ってから仕
事が不可能。仕方ないので午後10時頃寝てしまい、早起きして朝作業をする事にする。

10時頃寝れば午前3時半〜4時頃目が覚める。朝のお茶を飲み残作業を行う。外はまだ
暗い。広州にいるうちにこんな作業周期が習慣付いてしまった。健康的な生活かもしれない
が、朝からいきなり仕事をするのもいまいち乗り気になれないが作業している内に集中してくる。
午前6時くらいになるとお腹が空き始める。

まだ外は暗いが何か食べ物を求めに外に出た。少し歩いたら飲茶の店がもう店を開いていた。
店は6時半から開始らしいがお客さんはすでにテーブルでお茶を飲んでいる。私もおそるおそる
座った。
従業員が来て「飲茶か?」と聞く。
「そうだ!ポーレイ茶がいい」と答えるとすぐお茶を持ってきた(ポーレイ茶=プーアール茶)。
周りのお客を見ると老人が80%を占めているように見える。みんな料理が出来るのをいまかい
まかと待ちかまえているかのようだ。朝早い老人が朝飲茶に集まるというのはある意味理解でき
る。

壁には朝昼の点心は一律3.8元だと書いてある。安いよね!飲茶の店で困るのは中文だけ
の点心メニューで注文する場合だ。注文出来ない訳じゃないが、それはなかなか難しい。やは
りワゴンで運んできた点心を指さし、これ、あれと注文するスタイルが気軽だ。

暫くお茶を飲んでいるとこの店のスタイルはガラス張りのオープンキッチンの全面のテーブルに置か
れた点心を「これ、あれ」言いながら選ぶビュッフェスタイル的な場所だと言う事が分かった。それ
にしても六時半をすぎてもまだ準備が出来ないらしい。そのうち、待ちきれなくなった老人たちが
一斉に動きだした。見ると一箇所に集中している。注文しているのは大きなワッパの排骨飯ら
しい。あれだけボリュームのある飯が3.8元だったら確かに安い。私はどちらかというとエビ餃子
などを食べたかったので、とりあえず蒸し排骨を食べた。

従業員に「餃子はないのか」と聞いた。
曰く「まだだ!ちょっと待て」
然し、待ちきれなくなり結局粽(ちまき)を食べてしまった。

粽は餅米なのでただでも腹もちが良すぎるのに一皿に二つも乗っている。粽を食べ終わっても
まだ餃子は出来ていなかった。結局餃子は食べなかった。
もう満腹だ。キャッシャーで支払ったら合計9.6元(約百五十円)だった。3.8元の料理が2
点で7.6元、お茶が2元だった。外に出たらもう明るかった。

14 残業


私が長期滞在していた施主事務所、基本的に残業が驚くほど少ない。普段は大抵5時半頃にはみんな帰ってしまう。5時半が近づくと声がひときわ大きくなる。何を言っているのかさっぱり分からないが、トーンが大きくなっていくのが分かる。いつしか「アイヤーハイヤー」「アイヨー」が頂点に達する。

頂点の次の瞬間、唐突にひるがえるようにそそくさと帰り始める。いつまでも仕事をしている私に「いつまで仕事をしている。ほら、帰るぞ。アイヤー」と言われ事務所からバタバタという感じで追い出される。暫くこの事務所で働くうちに夕方皆の声が大きくなると、そろそろ帰る時間(5時半)じゃなかろうかと想像がつくようになった。

夜は5時半に仕事が終わり、朝は8時半にはみんな出勤している。考えてみれば健康的だ。我々の東京本社は夜の11時頃まで残業する事は決して珍しい事ではない。疲れた表情で朝9時半出勤してくる(最近はそこまでの残業は少なくなったけれど……)。

とても東京での作業スタイルを続けると人間らしい生活が出来るとは思えない。
この点広州は違うようだ。

13 白粥と野菜、日常食


私が広州を訪れると皆とても良くしてくれる。ありがた過ぎて恐縮する。短期出張であればありがたく頂戴するが、今回の出張は三週間だ。毎日のように豪華絢爛な食事をしていたが、三週間続けてそんな毎日を送れるはずがない。一週間後彼らの注文に変化が現れ興味深かった。注文したのは野菜のたっぷり入ったスープを何種類、青菜そして白粥だった。シンプルですこぶる良いのである。これだったら私も毎日のように食べられる。そこでおそるおそる聞いた。

私「今日のはどういう料理なのですか?」
曰く「広州で一般的にみんなが普段食べる料理」

そうだろうなあ……と思う。いくら中国人でも毎日のようにあんなド派手な料理ばかり食べているとは思えないのだ。それにしてもみんな白粥をよく食べている。味の付いていない単なるお粥である。これに少々の漬け物を入れてさらさらと何杯も食べている。

広州に来てこれで初めて彼らの食事のベース(全てとは言わないが)が理解できたと安心した。あれだったら太らないはずだ。

12 八角と中国北方料理


香港で中華料理を食べるとあの中華独特の香りに接して「ああ、本場の味、香り」と思う。色々な味や香りが混じって独特の雰囲気を醸し出す。その香りの中で独特すぎて嫌悪感を感じる香りがある。それは「八角」。八角は中国の南部の産物で大茴香の実で肉や魚の臭みを抜き独特の風味を加味する。そしてほんの少し入れるだけで本物らしくなってしまう不思議なスパイス。

東坡肉(トンポウロウ)や叉焼などに使用する。私はこの「八角」は一度気になると、鼻について離れなくなる。一品程度八角を使った料理が出てくるのは良いが、何皿も八角を使った料理が出てくると途端に嫌気がさす。

この八角は中国南部の原産で料理に積極的に使うのは中部以南の料理に多いようだ。中華を食べてこの八角が嫌だなあ……と思う人がいるとしたら一度北方料理を試してみてはどうかと思う。北方料理は味付けのきつい場合もあるが、物によっては日本人好みのものも多いと思う。

広州には「東北人(ドンペイレン)」という中国東北地方料理のお店がある。この店は格安で庶民的な店だ。水餃子がさっぱりして良い。

この東北人の女性従業員のユニホームはカラフルで独特。髪の毛は三つ編み。マンチュリアンというのはああいう姿をしていたのだろうか?

11 ワンタン麺


昼、香港人マネージャーに連れて行ってもらったのが「港勝雲呑麺」。ワンタン麺で有名なお店。港式雲呑麺(香港式ワンタン麺)が8元(120円くらい)でプリプリのエビの入ったワンタンが食べられる。ワンタンと言えば北方では大抵豚肉などを使うのが一般的だが、プリプリエビのワンタンは香港人の発明らしい。

日本でワンタンと言えば殆ど皮ばかりで具が少ないのを指す。昔食べたインスタント麺のエースコックのワンタンメンも殆ど皮ばかりだ。それに比べ香港のエビワンタンは丸々として、エビがビシッと詰まっていて、まるでシュウマイのようである。同じワンタンとは思えない。人気店らしくお客さんがたくさん入っている。スープの味は画一的な味でどうということはないのだけれど、麺やワンタンの食感で食べてしまう。