表の家

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 つれづれ話の部屋
海外生活はたまらない 広州編6-10

10 粽、豆漿


ホテルの朝食はビュッフェ・スタイルで40元ほど。香港のホテル
に比べればはるかに安い。安いが内容が料理の種類は乏し
く、結局食べるのは、ジュース、お粥、焼きそば程度。外で朝
食を購入するとさらに格安で、セブンイレブンでパンと牛乳を
併せて5元(日本円で75円くらい)程度。オフィスの近くで見
つけた小さい店は粽(ちまき)と豆漿(豆乳)の合計2元(30
円くらい)。こういう朝食をとっている限りお金は減らない。

話は逸れるが台湾に長期滞在していた頃我がホテルのあった双城街に「とうちゃ〜ん、とうちゃ
〜ん」と言う人が度々やってくる。「父ちゃん」と言っているようだ。後にこれが豆漿(トウジャン)
売りだと分かった。初めて呑んだときは妙に甘い飲み物だと思ったがそのうち慣れた。暖かくして
売っていたケースが多かったと思う。

暖かいのを熱豆漿(ルァートウジャン)、
冷たいのを冰豆漿(ピントウジャン)

「豆漿一杯」というと
「熱?冰的」と聞いてくるのでどちらかを答える
冰(ピン)は広東語では凍(トン)。冷たいという意味。広州ではどちらでも通じた。

9 携帯電話GSM


日本は携帯電話の高機能化で百花繚乱、大流行。カメラ付きは当たり前、テレビ付きまで販売されている。ついつられてVodafoneのテレビ付き携帯電話を買ってしまったが後悔した。重くて大きい。テレビを一時間も見ているとバッテリーがあがってしまう。そもそもテレビなんて見やしないし、海外でも使えない機種を買ってしまったのだ。以前持っていたドコモの携帯(白黒)の方がコンパクトで軽くて良かった。

さて、広州に三週間も居るということで当初レンタル携帯を香港で借り広州で使用していた。使って初めてこの便利さに気がついた。一台の携帯でプリペイドSIMカード(ICチップ)を買えばどの国に行っても同じ携帯で話が出来る。通話可能時間が足りなくなったら、通話時間を追加するカードを買ってくれば良い。電話番号は変わらない。

SIMカードで電話番号、残数、よく使う相手先電話番号などを記憶させられるから、例えば友人の電話機本体を借りて、自分のSIMカードを入れ替えれば紛れもなくそれは自分の携帯電話として使える。その国ごとのSIMカードを買った方が安く済むが、電話番号が変わってしまう。一つのSIMカードで世界を廻れば同じ電話番号で済むがローミング通信になるので通話料が若干高くなる。それでも日本の携帯を持参するよりは遙かに安く済む。

私は香港用のSIMカードと中国用のSIMカードの二つを持っている。プリペイドSIMカードでも契約携帯電話でも実際の通話料は大して変わらないらしい。あんまり便利だったので、香港で携帯電話本体を買ってしまった。

契約もしないので身分証明書もいらないし、銀行口座も勿論いらない。SIMカードを購入するには身分証明書が必要らしいが、少なくとも中国でSIMカードを買うときはお金だけがあれば十分だった。

この買った携帯がノキア製で白色半透明のマッキントッシュのようだ。コンパクトで軽く、日本でもこういう携帯がはやれば良いのにと思う。日本の携帯はカバーを換える事は出来ないが、香港では自由なので表面が古くなってきたらカバーを換えれば新品同様になる。こういう部分も素晴らしい。日本でもVodafoneがこのSIMカード(GSM)対応機を販売するらしいが、もっと普及してほしい物だと思う。

8 ウン・ニー・イー・シャー!


広州―香港間往復は特急の直通電車を使う。地下鉄を除き広州の繁華街を中心には駅が二つある。広州駅及び広州東駅である。

広州駅は古い駅舎で中国国内ローカル線の起点になっている。広州東駅は新しい駅で、国内ローカル線と共に香港との間の直通電車がとまり出入国管理もある。広州南駅もあるがこれは貨物用の駅のようだ。さて、我々が利用するのは広州東駅。広州東駅は天河地区にある。広州の中でも新しいオフィス街だ。

駅舎は建設後何年も経っていない筈だが床が土間で埃っぽい。タクシー乗り場はあるが、誰もきちっと整列してない。野性的、積極的にタクシーに乗り込まないといつになってもタクシーに乗れない。見ていると、タクシーに乗り込んでも断られている人もいる。多分タクシーを使うには近すぎる距離だからかもしれないが何故かは知らない。私の目的地は広州市の古いビジネスタウンで40元は下らない。断られるという事は滅多にない。

帰る際、天河地区は常時渋滞する為、広州東駅到着が出発ぎりぎりになってしまい、慌てて乗車券を買いに行く。希望の電車に乗れない場合は次の電車を待つか、ローカル線で深センまで行き、香港側の羅湖(Lo Wu)で歩いて国境を渡りKCRでホンハム駅まで戻る事になる。

香港直通は便利だが1日の便数が限られている為、次の便まで待つと2時間以上になってしまう事もある。ローカル線で深セン経由であれば本数も多く時間をアジャストしたいときに便利。ただ、深センで歩く箇所があるので大きな荷物を持っているときは少々苦になる。

広州東駅で希望の香港直通電車に間に合わなかった為、次の直通を待つか深セン経由の電車にしようかと迷っていると、それを見透かしたようにダフ屋が集まってくる。チケットを見せてくるので言葉は分からなくても直ぐそれだと分かるが、無視。香港マネージャーの話によればこれは買ってはいけないのだそうだ。法外な金額を請求され、相手が日本人だと足下を見てさらに高くすることがあるらしい。

そうこうしていると
「ウン・ニー・イー・シャー!」
「チン・ウン・ニー・イー・シャー!」
と声をかける女性が現れる。

この「チン・ウン・ニー・イー・シャー!」は「少々おうかがいします」と言っているわけだが、物乞いやスリらしい。駅や繁華街のような雑踏の中で声を掛けてくるというのは大抵ろくでもない場合が多い。

「ウン・ニー・イー・シャー」には気をつけよう。

7 お札、ババ抜き


高価な切手を購入することが多いと偽造に対して敏感になる。その手口も勉強したのでだいたい知っているつもりだった。

切手購入の際、じっくり状態を見るという行為が(たとえ見て分からなくても)偽造品を掴まされる可能性を低くする。入手手段から真贋を判断することもあり、購入先がしっかりとした切手業者であれば信用される(事がある)。入手先がフリーマーケットだとすると偽物が混在する可能性が高くなるので信用しにくくなる。つまり「この切手は何処で買いましたか?」という質問が大切になる。

高い切手は常時品薄で流通量も限られる為、高価であればあるほど所持人が限定される。氏素性の分からない人から買った品物は先ず偽造であるかどうかを警戒されるというのは仕方がない事だ。殆ど匿名に近いヤフオクであればなおさらで、このオークションで高価な切手を安く売っていてもおいそれと買う気になれない。

安物が高く売られる事はあっても、高価な物が一定以上に安くなると言う事は先ず無い。夢のような話は信じない方が良い。大きく相場が変わる転機があれば別だが……

と書いてきたが、ある日中国元の偽札を掴んでしまった。

タクシーやレストランで支払う際彼らが頑と受け取らなかったお札があった。100元(約1500円相当)だった。100元は高額のためか支払いを嫌がられる事がある。最初はその延長だと思い、仕方ないのでホテルのキャッシャーに行って小さなお金にくずしてもらおうと思った。一万円からこのお札に両替したのはこのキャッシャーだと思っていたからだ。ところがホテルのキャッシャーは受け取らない。
キャッシャー先生「これは偽札だからだめです」
私「君たちから両替したのに受け取らないというのはひどいじゃないか」
キャッシャー先生「そんな事はあり得ません。我々が見ればすぐ分かりますから、払い出すこともないです」


この時初めて偽札を掴まされたという事に気がついた。最高額貨幣の100元は外貨から両替したとき以外にない。宿泊ホテルのキャッシャーでないという事は香港のホンハム駅の両替所だったのかもしれない。

私は諦めた。そこで今後だまされないように、このキャッシャー先生に簡単な見分け方を教えてもらうことにした。

自分の部屋でもう一度本物と比較してみた。紙の触り心地、印刷の色、透かし、マークなど微妙に違っている。手口を知っていて、なお且つよく見れば分かるかもしれないが、知らなかったら見分けられない。

それにしても良く出来ているものだ。単なるカラーコピーだとは思えない。コピーすると潰れがちな細かい部分がそれほど潰れていない。きっちり版下を作っているんじゃなかろうか?透かしも入り金色の塗料も使い本物と分からないように作られている。これでは外国人旅行者だけでなく、たばこを売っている目の悪いおばあちゃんなどでは分からないかもしれない。呆れたものである。

香港人マネージャーにこの一件を話した。曰く「タクシーを乗ったときも危ないから気をつけろ。なるべく小さい金で支払え」大きなお札(例えば100元)で支払うとおつりを受け取った際それだけリスクが大きくなる。100元よりは50元、50元よりは20元、20元よりは10元単位で支払えば危険が少なくなるという訳だ。

6 猪と狗


広州滞在を始め2週間近く経った。東京から上司の剣道さんがセレモニー出席の為広州に入り、午後のセレモニーが開始する前の束の間、宿泊ホテルの湖南料理レストランに入った。セレモニー開始前にさっさと食事を終えなければならない。お店はガラガラで我々以外に二組のお客しかいない。一時間後には食事を終えなければならないが、これだけ空いていれば楽勝であろう……と思った。

早く出来そうな料理を注文した。チャーハン、大根と魚の牛乳鍋、青菜の腐乳煮そして肉料理だ。肉料理として最初牛肉を選んだが剣道さんが「テーブルの上のお薦メニューが美味しそうじゃないか!」と鶴の一声でそのお薦め肉料理に切り替えた。

直ぐにでも料理が出てくると構えていたが、待てど暮らせどちっとも料理が出てこない、気がつくとレストラン内はたくさんのお客で埋まっていった。注文後30分も経つのにちっとも料理が出てこない。このままでは料理を作るのに45分、我々が食べるのが15分くらいになってしまうじゃないか?と危惧した矢先にやっと料理が出てきた。さんざん待たされ、お腹が空いていた我々は慌てて掻き込み始めた。大根スープ、チャーハン、野菜ともにまあまあである。メインディッシュの肉料理が鉄板でグツグツと焼き込みながらサービスされた。

食べてみたらやけに癖のある肉だった。剣道さん「こりゃマトンじゃないか?」うむ、そのようだけど本当に羊かしらと思って(見なければ良かったのだけれど)メニューを確認した。メニューには羊肉とは書いていなかった。猪肉(中国では豚肉のこと)と読めた。でももう一度目をこらしてみたら「猪肉」は誤読で「狗肉」と書いてあった。

「狗肉?狗ってあれ?まさかこれ犬の肉?」

ウエイトレスに聞いた。
彼女は一言「dog!」

こりゃ大変だ。犬肉を食べてしまった。剣道さんは困惑の表情に変わってしまった。鳥の皮肉もいやがる人である。しかも愛犬家。

私がメニューを換えてしまったのなら文句の一言も言われよう。ただ今回の場合、剣道さん自身がメニューを変えてしまったのだ。剣道さんも自分を納得させようと必死な表情だった。人ごとながらかわいそうになってしまった。

「嘘も方便」

何の肉かどうかなんて確認などしないほうが良かったのだ。