表の家

昔日の松戸91-95


95 松戸の釣り具屋さん

「江戸川まで歩く」で一部釣り具屋の事を書いた。松戸駅付近には釣具屋が何軒かあったが、自分
の知る殆どの店が無くなってしまった。平潟湯付近坂川沿いの浮見堂では延べ竿、ハリス、練り餌な
どを度々買った。一部高級な竿もあったと思うがよく覚えていない。旧水戸街道沿い松戸神社の参
道に入る付近に小西屋釣具店があった。ここはヘラブナ用その他の高級な竿を扱っていた。ただ、
江戸川へのコースから僅かながら外れるので殆ど行かなかった。葛飾橋で手長海老釣りをする際、
立ち寄った程度だったと思う。

浮見堂や小西屋より後発組として、根本の開かずの踏切付近にてんぐ屋があった。ここではリール
竿を買った記憶がある。後年火事で消失。そして松戸駅前通りに上州屋釣具店が出来た。何年続
いたのかよく覚えていないが現在同地はツタヤ。

角町交差点から葛飾橋方面に歩くと左側に一軒釣り具屋さんがある。かなり古い店のように見える
が私が小さい頃は無かったと思う。ここも立ち寄った事がない。また、松戸駅前通り一平橋の近く松
戸輪業の隣に「よこかわ」が今でもある。「よこかわ」は釣り道具を売っていたご主人が他界した後、
奥さん(おばあちゃん)がタバコ屋をメインに釣り具は細々と売っている。ここは殆ど行った事がな
い。

94 江戸川まで歩く−平潟界隈

昭和三十年代、父は度々私を江戸川に連れて行った。竹ヶ花の踏切を渡り、旧登校橋を超えて「堀江商店」の手前で新坂川沿いを歩く。一本橋を超え新坂川にそそぐ六間川の堰を渡り、根本橋付近に出る。(この界隈はご意見箱でサンダース軍曹も書いていたように道幅が狭かった。そしてもっと鬱蒼として暗い感じだったと思う)

「鈴木風呂桶店」を通り過ぎ「やぐち商店」及びその前にあった駄菓子屋を見ながら歩く。この駄菓子屋は後に居酒屋「どんき」になった。

釣りが目的の場合は坂川沿いの「浮見堂釣具店」を経由する。釣り以外の場合はそのまま「やぐち商店」の前を平潟方面に向かった。「ももや」までの間に途中鉄骨剥き出しのバラックの様な場所があって、そこで同級生の女の子が窓から手を振っていた事があった。私の名前を呼んでいたので多分同級生だと思うが果たして誰なのか分からなかった。「ももや」付近は今のようにすっきり明るい印象はなく、もっと樹木が多かったように思う。「吉崎外科」から右折、江戸川方向に向かいゴール。

「ももや」前を歩かず平潟遊郭跡の街並みを見ながらそのまま江戸川に向かった事もある。当時は柳沢義男先生の柳仙育英センター(中央大学司法会計研究所)が古い遊郭跡の建物を利用していた頃だった。司法会計研究所については後日知った。ただ、あの大きく弧を描いた道を歩くと窓や扉のデザインに何とも表現し難い、ある種、独特で不思議な雰囲気があった。

父は平潟遊郭について説明した。「戦争時代に何とか、かんとか……」然し、曖昧な言い方で結局なんなのかはよく分からなかった。照れがあったのだろう。一応の目的地である平潟付近で樋古根川が江戸川に接する場所、つまり樋野口排水機場付近に出た。

そこから土手を赤叺(あかいり)樋門の付近まで歩き、再び坂川の所を散策、そこはムクノキやケヤキで鬱蒼とした場所(これは今でも同じ)。赤叺橋を渡り再び住宅街の中を平潟方面に歩く。その途中に駄菓子屋が一軒あった。現在の中華わかまつの裏の街区の一画だと思うが正確な場所は忘れた。いや、この一帯は新しく開発された場所なので納屋川岸の辺りだったかもしれない。

父は「子供の頃、この駄菓子屋さんにお世話になった」と言った。その後、一人でこの駄菓子屋さんに来た事があった。お店のおばさんに父の事を話すと「よく一人でここまで来たわね〜。でも危ないよ、これ(駄菓子)をあげるから次からは一人でこんな遠くまで来ちゃだめだよ」と言われた。それ以降この店には来られなかった。

93 八百浪ー根本商店街

冬になると必ずイメージするもの……それは柑橘類。中国や香港などでは旧正月(チャイニーズニューイヤー)では砂糖蜜柑の木を街の至る所にディスプレイしているのを見かける。金山神社の付近の近所のKaさん宅、会計事務所のKiさんの庭木に夏みかんらしき木、古ヶ崎浄水場にユズの木、根本の大先輩N氏宅にはキンカンがある。

松戸市根本の伊沢布団店の対面に八百浪さんがあった。根本の商店街の中でも活気のあるお店の一つ、太って丸顔のおばさん、長男のカズちゃん、次男のミサちゃんなどなど商売熱心だった。私が店頭にあったキンカンが実に美味しそうで欲しくて欲しくて盗み、親からイヤという程叱られたことがある。ただ、食べるみるとそんなに美味しいものではなかったのだけれど……そんな悪ガキだったに関わらず八百浪のおばさんからはいつも笑顔だった。八百浪のおばさんも次男のミサちゃんも今は亡き人。

長男のカズちゃんは地元でも有名なサユリスト(吉永小百合ファンを当時こう呼んだ)で勿論ファンクラブにも入っていたと聞く。吉永小百合は美人の代名詞だった。シャープの液晶テレビのコマーシャルに今でも出ているが、あの方は年齢を全く感じないほどいまだに美人。現在八百浪さんは店舗販売ではなく、東口某病院への直販などをしているらしい。

92 広報まつどとセイタカアワダチソウ

この記事は広報まつど、昭和46年頃の記事。雑草が非常に悪い存在であると断定している。この当時キリンソウと言っていたのは多分セイタカアワダチソウかもしれない。セイタカアワダチソウとブタクサが同じだと考えている人も少なからずいる。

セイタカアワダチソウは花粉症の原因になると言われ毛嫌いされていたが、風媒花ではなく虫媒花であり「花粉症の原因」と騒ぐほど花粉が大発生する訳ではない。ところが、花粉症が怖くてセイタカアワダチソウの近くを通るときは花をつまんで通り過ぎるほど毛嫌いされた。

一般的に外来種の雑草=悪草、害草のイメージもある。ところが、このセイタカアワダチソウを棲み処の一部とする野鳥もいるらしく、悪草と決めつけるにはあまりに不公平かもしれない。セイタカアワダチソウはススキやオギを駆逐すると言われ、蔓延って河原がセイタカアワダチソウだらけになってしまうと危惧された時代もあったが、心配する程蔓延ったわけではなかった。

セイタカアワダチソウはアレロパシーを作用する物質が分泌されて他の植物の生育を抑制するらしい。同時に自分自身のアレロパシーによって自分自身の種子が育たなくなる効果あり、セイタカアワダチソウが勢力を拡げそうになると自らその勢力を弱め、時間をおき再び拡げる……そういった成長を繰り返すらしい。ただ、アレロパシーはセイタカアワダチソウだけの作用ではなくて、他の植物にも備わっている種を守る目的の能力で、自分以外の植物の生長を抑制していく。似たような作用で有名なのはヒガンバナで、この根には毒があり食べると食中毒を起こす。
モグラがその毒で近づかず荒らされないからとお墓付近に植えられたらしい。
その他クルミ、サクラ、マツ、ソバ、ヨモギなどにもある。

91 長崎屋とオーディオ機器

1970年代のいつだったか忘れたが、いくつかのオーディオ機器は長崎屋で買った。初めてのステレオを買う私にとっては、4チャンネルがどうとかこうとか、コンポーネントがどうとかこうとか、色々な事で頭がいっぱいになって何が何だか分からないまま、従業員の薦められるまま買ったのはサンヨーのOTTOだった(両親に買ってもらったのか自分で買ったのかは良く覚えていない)。

4チャンネルやコンポーネントが良いんじゃないか?と理由の無い疑問を持ちつつ結局それを買った。使い始めてこのサンヨーOTTOを案外気に入ってしまった。ステレオ本体に付属のLP版レコードの中に汽車の走る音をステレオで録画した物が入っていて、汽車が右から左に走っていく効果音が聞けた。それまでモノラルでしか聞いた事のない私にとって音質よりもこの臨場感に驚いた。

「ああ、これがステレオというものなのか……」と!つまりその程度のレベルだったという事かもしれない。私のサンヨーOTTO購入を知った友人のナシキ君も全く同じ機種を買ってしまった。FM放送の音が綺麗で驚いた。友達からLP版を借りてきては聞いた。これも音が良かった。

こうなってくると録音装置が欲しくなる。何と言っても本格的にはオープンリールだろう。オープンリールレコーダーを長崎屋に買いに行こう!と思いいつもの売り場に行った。

私「オープンリールレコーダーが良いと思っているんですが……」
従業員「お客さん、オープンリールは扱いにくいですし、今はカセットの時代ですよ」

私はオープンリールのテープの太さとカセットのテープの太さを想像し、どう考えてもカセットテープは音質が悪いと思い込んでいた。実際、それまではカセットテープのイメージは会議録音用で音楽用として性能向上したのは1970年代以降だと思う(事実私が買おうとした時点では、すでにカセットテープは音楽録音用としても立派に役に立つ存在になっていた。つまり私の認識不足だったのだ)。

それでも念入りに説明する従業員の熱心さに折れた(しかし従業員の主張は正解だった)。そして薦められたのがTEACのカセットデッキ。TEACはテープデッキのメーカーとして私も知るくらい有名で、値段の問題を除けば断る理由は無かった。従業員「展示品ですので○○○○○円です」という言葉につられて購入した。

あれだけ音質を気にしていた私だったが、もっとも多く買ったカセットテープは結局格安テープだった。各社で色々な製品があったが、もっとも安い製品か或いはその上のレベルしか買ってない。その価格レベルの比較でもTDKのテープはやはり高価だった。SONYも同じ。一流メーカーのカセットは安くて千円/三本を切らなかった。

それに引き替え、長崎屋で販売していたScotch(スコッチ)やサンバードの格安カセットの値段は魅力で千円/四本だった。「オープンリールの音は良い」などとわめいていた本人がこのありさま。今から思うと空恥ずかしいがそれが事実だった。